Spirit of Fire企画
第一回 歴史編(トイガンと私の関わりについて)
私がこれまでどのようにトイガンに関わり、こんなサイトを作るまでに至ったかを、私の知る範囲のトイガン史(えらく狭い)と絡めてまとめてみた。
記憶頼りなので、曖昧な部分もあるが、そこは正確な情報が入り次第修正したい。
1.
私がエアガン・モデルガンというものを知ったのは、小学生の頃。
まだエアガンの呼称には「ケースレス」(*1)がついていた時代で、モデルガンはと言うと、とうの昔に規制がされてて、規制前のことなど知る由もない時代。
WAはヤティマティック(*2)を出し、コクサイはスーパーウェポン(*3)を止めて、ガスガンのM16を出し、チヨダやヨネザワやポイントがまだ元気にエアガンを出していた。サバイバルゲームではマルコシのスーパー9シリーズ(*4)のカスタムや各社のポンプアクションがまだ幅を利かせていた。
上で列挙した事項は時間的にかなり幅があるが、それは当時あまり正確な情報を得ていなかったせいだ。何しろ当時の私の主なソースは店とケイブンシャの『エアーソフトガン大百科』(*5)くらいなものだった。
大体知識があっても買う金がない。この頃はエアコッキングを買う程度しかできなかった。
で、小学生当時何が好きだったかというと、コルトウッズマン(マッチターゲットのほう)とブローニングハイパワーが好きだった。
何しろウッズマンはガキの手にも持ちやすいし、グリップに角度があって構えやすい。
ハイパワーは削ぎ落としたようなデザインが好きで、この辺の趣味は今と変わっていない。
ウッズマンと言うと『ワイルド7』を思い出す人も多いだろうが、私の世代はワイルド7を全く知らず、両者の関係を知ったのははるか後年のことである。 *1 エアガンは一時期カートリッジ(ケース)に弾をこめて装弾する方式だったため、その後ケースを用いないエアガンが普及してしばらくは「ケースレス」と商品説明につくものが多かった。
*2 映画『コブラ』(1986/米)にも登場したサブマシンガン。当時WAは電池とガスの併用でフルオートを再現した。
*3 カートリッジにキャップ火薬を詰め、発火とBB弾発射が同時に出来るようにしたシリーズ。実物を撃った事はない。
*4 言うまでもなくかつてのエアガンのライフル世界の王(カイゼル)。ただし、ノーマルのままでは見た目も性能も悪いので皆カスタムしていた。余ったパーツで1丁できるくらいカスタムされるのがザラなほど。が、当時ガキの私には遠い世界の話で、もちろん買ったことはない。
*5 ケイブンシャの大百科シリーズは「無いものは無い」状態で、なぜかモデルガンやエアガンの大百科まであった。 2.
『Gun』や『コンバットマガジン』や『アームズマガジン』を読むようになった頃……中学生くらいの頃になると、知識もそれなりに増え、友人達とサバゲの真似事もするようになった。
当時私が住んでいたのはかなり田舎で、山も野原も河川敷も遊び放題だった。発火モデルガンを撃てる場所も首都圏あたりとは比較にならないほど沢山あった。もっとも寒くなるのが早い地方だったので、冬のガスガンはきついものがあった……。
ちょうど私が中学生くらいの頃に登場したのが電動ガンで、これが登場した当時は「これでサバイバルゲームの世界が変わる」と思ったものだ。冬でも動くし。まさか今のようにマルイの一人勝ちになるとは思わなかったが。
かつて東京マルイがガンダムのパチものプラモを出していた事実(*6)を当時の私は覚えていたため、「あのマルイがこんな革新的なものを作るとは……」などとも思ったが、あっさりとマルイのH&K
MP5A4を買った。私が買った電動ガンは後にも先にもMP5だけだ。
サバゲと言えば、自然分解するバイオBB弾が登場したのもこの頃だ。もっともこの頃のは匂いはひどいし、精度も悪くて実用度は今一つだったが。
また、この時代には色々な製品が出ていた。MGCのガスブローバックも豊富だったが、そうしたバリエーションの豊富さとは別にアサヒやトイテックのバルカン、ファルコントーイのスペクター、グンゼの電動ソシミSMG821プロなどなんでこんなものが出るんだという製品が随分出ていた。
案の定その後潰れたり撤退したりする企業が続出したが、この世界もバブルだったのだろう。
電動ガン登場・普及初期と重なるようにしてサバゲの世界に入ったわけだが、案外この期間は短い。
高校に入ってからは受験や部活で忙しく、エアガンの世界から離れることになった。
ただし、興味が完全になくなったわけではなく、たまに『Gun』などを読むことはしていた。最も立ち読みなので、実銃記事しか読んでいなかった。
このため、後にトイガンの世界に戻った際にはだいぶ隔世の感がしたものだ。
なお、『コンバット・マガジン』で主力記事を書いているN氏について、しばしば『Gun誌に記事を書いていた頃はまともだったのに、コンバットマガジン誌に移ってしばらく後におかしくなった」という評価がなされているが、それは嘘だ。
昔から――80年代初頭から――の読者に言わせれば、あの人の記事はGun誌で書いていたからおかしい。
昔から口語・会話文・妙なカタナカを多用し、昔から人間を撃ち殺す話を嬉々として書いていたのだ。
違いと言えば昔はナイフや格闘術の話がなかったことくらいか。いずれにせよ、前述のような評価は過去を美化したものだ。
いや、そもそも銃関連雑誌の記事と言うのは、どの雑誌でも鵜呑みにするのは危険と相場が決まっている。
実銃記事で数字や記述が間違っていたり、情報源が怪しかったりすることはよくあるし、トイガンの記事は広告主であるメーカーを慮ってあまり批判をしない。
批判しないばかりか、そのエアガンでは絶対ありえない性能を記述したとんでもない事例まである。
ところが読者には「雑誌にあったから本当のことなのだろう」と信じる単純な人が結構いる。
実銃の記事について言えば資料性が高いから、雑誌の記述をそのまま小説やマンガのネタに流用する人もいる。
例えばステアーTMPの事を差して「もう対テロに拳銃では役立たずだというのが常識だ」という趣旨のセリフを言わせたマンガ家や、Cz75の誇張を広めたマンガ家などがいる(*7)。
フィクションの世界なら嘘や誇張もいいかもしれないが、実銃の記事を載せる雑誌くらい、ちゃんとした情報を載せて欲しいものだ。
話が逸れた。元に戻そう。
結局、中学生時代まで浅くしかトイガンの世界に接してこなかった挙句に高校時代に完全にトイガンの世界から離れていた。
Gun誌やコンバットマガジン誌やアームズマガジン誌を読んでいたのにも関わらず、だ。
仮に当時興味があったとしても金がなくて買えずに口惜しい思いをしただろうから、結果的には良かったのかもしれない。いや、良くも無いか(どっちだ)。
それに、大抵のエアガンやモデルガンは18歳以上を対象にしており、当時そういった商品を18歳未満の中高生が買うのはどうかとも思っていた(*8)
:*6 「モビルフォース ガンガル」や「ウォーカースーツ」のこと。マルイの黒歴史である。
*7 『オークション・ハウス』(叶精作+小池一夫, 集英社,
ビージャンコミックス)や『ガンスミスキャッツ』(園田 健一, 講談社, アフタヌーンKC)、『パイナップルARMY』(工藤かずや+浦沢直樹,
小学館)など。作者は表現として面白いから使っているのだろう。
*8 青少年保護育成条例などの条例で規制されている事が多いが、守られているかどうかは甚だ怪しい。この業界は体裁だけ整えて実際は適当にお茶を濁したり、脱法行為を看過したりする場合が多い灰色の世界だ。 3.
大学生になると時間はあるし、金も中高生よりは自由に使えるようになる。
ただし、私がエアガン(主にガスブローバックガン)を買うようになったのは20を過ぎてからだ。
どういう心境の変化があったのかは自分でもわからない。何しろ最初に買ったガスガンが何かさえ覚えていないのだ(我ながらバカだと思う)。
知らない間にMGCやアサヒはあんなことになっているし、WAのガスガンはガス漏れしなくなってるし、KSCなんてメーカーが幅を利かせるようになってきているし、中断期間があった身としてはまるで浦島太郎のような気分だ。
おそらく最初は情報収集に専念して、その後ポツポツ買うようになったのだと思う。
その後、まだ参加人数が今ほど多くなかったYahooオークションやブラックホールを見て回り、同時期にトイガンを扱ったWebサイトを見て回るようになった。
そしてWebで自分の手持ちのトイガンを公開するまでになったわけだが、自分のサイトで公開している文章はかなり不完全だ。
信頼性の高い情報と、できれば独自の視点で評価を書きたいところなのだが、おいおい改稿していくしかなさそうだ。
大学を卒業し、サイト運営をやるようになった頃にはさすがに知識の蓄積もあって、好みも確立されてきた。
が、どう言うわけか、その好みはかなり広範なものになっている。拳銃の好みを列挙すると、
・45オートはコンパクト系が好き。コマンダー以下のサイズを好む
・9mmオートではブローニングHP、Cz75、SIG P226を好む(40S&Wも似たようなもの)
・リボルバーはスナブノーズなど銃身が短めのものを好む
・.50AEのような大口径のものも好む
・ポリマーフレームの銃はグロックのように比較的シンプルな外観のものを好む
・マカロフ、スティッキンAPSのようなソ連ものも好む
こうして見ると、どうにも一貫性のない妙にバラツキのある趣味であることがわかる。しかも絶対エアガンやモデルガンになりそうにないものが混ざっている。
だいたい、自分が今まで買ったエアガンを見ると必ずしも上記のような趣味と一致していない……。
これはトイガンの好みが銃のモデル(つまり実銃)だけに依拠してないためで、それに色々と優先順位があって実際に買うことになる。
では、次回はどのような手順でエアガン、あるいはモデルガンを買うのかまとめてみたい。
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