Spirit of Fire企画

第二回 選択・購入編(初心者向き)



 ここでは、トイガン――主にガスガン・エアガンだが――を買う場合、どのように選択し、購入するのか。
 特に何を購入して良いか分からない人の参考になりそうな話を書いておく。


1. 購入動機

 人にもよるだろうが、購入動機は大体以下のような要素にわけられると思う。

1-モデルとなった銃が好きかどうか
2-使用目的に合っているかどうか
3-トイガンとしての性能が良いかどうか
4-入手しやすさ、価格の問題

 大雑把に言って、こんなところだろう。無論、こうした各要素は複雑に絡み合う。
 3については本人が直接扱った経験によるとは限らない。雑誌や他人の評価というのも重点を占めている。
 それに、それまでのメーカーの信頼度も関わってくる。
 どこに優先順位を置くかは人によってだいぶ違う。プリンキングの人はあまりこだわらないが、競技をやる人は2, 3の重要度が高いはず。
 また1については、映画、ゲーム、アニメ、漫画、小説などのフィクションの世界から興味を持つようになる、という例も多い。
 この辺ですでにつまずく人は、つまり自分の好み・趣味が形成されていない人だ。好みくらいは自分で確立して欲しい。
 
 各モデルの購入動機は複雑で、アンケートの結果は必ずしもあてにならない。
 大体のアンケートの結果は1の、モデルとなる実銃の人気でしかないのだ。
 トイガンの出来如何では売れないだろう。それに、アンケートに希望を書いた人間が全員買うとは限らない。
 これは他の玩具業界でよくあることで、製品化希望や復刻希望トップの商品が売れ残る、なんてあきれるほど事例が繰り返されてきた(*1)。
 当然、これはトイガンの業界にもあてはまることで、ヘタなアンケートなら取らないほうがいいとさえ思える。
 アンケート通りの銃を製品化してもたいして売れず……なんて可能性も場合によってはあるからだ。 

 4については人それぞれだ。
 1〜3を満たした上で安くて入手しやすいのが商品としては理想的だが、購入動機はそれだけではない。
 いわゆる「希少価値」というものも絡んでくるからだ。
 「人とはちょっと違うものが欲しい」「人の持っていないものが欲しい」というコレクター心理は、誰にも大なり小なりある。
 もっとも、近年は自分の好みも把握せずただ「レアだから」「限定だから」を理由に買う人間も増えているが。同時に、「いずれ値が上がるだろう」とバブル時代のゴルフ会員権のように転売目的で買うものもいる。
 この点をうまく利用して賢い商売をやっているのが東京マルイとウェスタン・アームズで、限定と言いながらかなりの数を製造しているあたり、かなり商売がうまい。ただし、マルイのバイオハザード関連のエアガンのように生産数が多すぎるといつまでも売れ残って「どこが限定なんだ?」と思える例もある。ガイナックス&角川じゃないんだから……(*2)。WA社に至っては、限定品を再販するというこれまた凄いことをやっている。トイガン会社というものはあまり商売上手ではないのかもしれない。

 トイガンの購入者は妥当な価格だと思えるクオリティであれば、高額商品でも買うことが多い。どのくらいが妥当か、というのは結局は個々人の感覚的なもので、不景気なのに大枚はたく人もいるのだ。明らかに相場を逸脱した価格で売買している人を見ると、さすがにどうかと思うが。

 購入するときの要素1〜4を考える場合、ポイントとなるのは「どれだけ情報を持っているか」だ。
 雑誌記事、インターネットのレビュー、知り合いからの情報、ショップで得た情報、これまでの経験など、なるべく多角的な情報を得るのが理想的だが、なかなか初心者には難しい。何しろこの業界は「完全に正しい情報」が無い。あるのは経験則と限定された公開情報のみ。そして、経験則は個人の嗜好、好みが大きく反映し、企業から公開されている情報はあまりに少ない。
 結局は自分で判断するしかない。よく初心者が「何がいいのか?」というような質問を各所の掲示板に書き込む。何か手がかりになる情報がほしいのだろうが、これは短絡的だ。掲示板で簡単に聞いて分かる程度の情報は、検索して得られる情報よりも少ない。もっと自分で調べて色んな情報を見て、そこから自分の判断をおぼろげにでも作るようにしたほうが身のためだと思う。

『いいコトが全て正しいとは限らない。悪いコトが全てダメなわけじゃない。おまえが決めるんだ──すべて』(相沢 洸一、『湾岸MIDNIGHT』より)
 


*1 プラモのキャラクターモデルの世界でよくある。玩具以外では、復刊ドットコムで復刊希望が集まり、無事復刊されたら売れなかった……なんて例がある。投票したヤツすら買ってないのだ。

*2 マンガ『新世紀エヴァンゲリオン(7)』の初回限定版をフィギュアつきで売り出したが、あまりに作った数が多過ぎて(一説には20万部×2)大量に売れ残り、挙句に書店で大幅値引き販売されてもまだ残ってしまった。しかも付属していたフィギュアはクリスマスの衣装にも関わらず何カ月も売れ残っていたので違和感バリバリだ。


2. 入手ルート

 入手ルートと言えばショップ・通販・インターネット・イベントの4つがあげられる。各々について説明しよう。

2-1 ショップ

 大半の人は利用経験があると思う。掘り出し物がある店、店員の態度が良い店・悪い店、情報を教えてくれる店など、特色はさまざま。地理的な制限もあるだろうが、親切な店の一軒二軒は見つけておいたほうが便利。試射させてくれる店もあることだし、なるべく店で買ったほうが良い。なお、玩具店よりトイガンをある程度専門に扱っている店のほうが当然信頼度は高い。現物を触らせてくれない店は論外。

2-2 通販

 雑誌広告・インターネット両方含む。時間・距離の問題から、通販を利用せざるをえない人は結構いると思う。逆に言えば、普通にショップで買える人なら通販は利用しないに越したことはない。商品を確認できないという、最大の難点がある。まあ、信頼度の高いメーカーやショップ(信頼度のないショップはそうそう無いが、対応が悪いショップでは買わないほうが良い)の通販なら、普通は問題ない。

2-3 インターネット

 ショップ、メーカーのインターネット販売は2-2と重複する。よって、ここではインターネット独自のものであるネットオークション(というかもっぱらYahooオークションだが)について説明する。

 ネットオークションで気になるのは、どの価格が妥当か?という見極めだろう。
 オークションの価格は変動するし、かなり高い場合がある。手っ取り早く相場を知るにはどうすれば良いか?
 答えは簡単。ネットで中古トイガンを扱っているサイトをいくつも見て回り、そこから大まかな相場を知れば良い。
 中古を扱う店は「中古 エアガン 販売」などのキーワードで検索エンジンで探すか、GUN誌のサイトのリンク集から探す。ここで注意することは、中古を扱うショップの価格は、ショップの手間賃、利益を上乗せしているという事だ。中古ショップの価格よりさらに低い価格がネットオークションの落札価格として妥当なものとあたりをつければ、そうそうはずれはない。
 私見だが、現行品や流通量が多い最近の製品なら元の売価の6割以下、数が少ない限定品なら売価プラスマイナス1割、数が多い限定品なら売価の7〜8割以下、過去の希少な製品でも売価より下が妥当だと思っている。しょせん中古だし、個人の出品者はショップより信頼度が低いのだから。無論、上記の数字は目安で、状態やカスタマイズの程度で変わる。人気のない品や、逆に人気がありすぎて多く流通している品はもっと低くてよいし、その逆もある。
 なお、オークションという形式は入札者がヒートアップしやすい。高い値段になりやすいのだ。入札する場合はちゃんと上限を決めてやったほうがいいだろう。また、勘違いしたような高い値段で出品している人(*3)もいるが、そういうのは無視して真っ当な値段のものが出てくるのを待ったほうが良い。

 インターネットではネットオークションの他、個人売買掲示板やサイトがある。トイガン専門の個人売買掲示板もあるが、システム上ネットオークションより信頼度は低い。手に入りにくいもの、何か特殊なものの売買以外では使わないほうが無難だと思う。

2-4 イベント

 上記以外に、ブラックホールなど、トイガンを扱うイベントで買うルートがある。掘り出し物があったり、限定品が買えたり、新製品が安かったりするなど、メリットは多い。ただ、イベントはそうそう多くないし、暇な人しか行けない。それと、最近はネットオークションの影響か中古の掘り出し物が減っているという声もチラホラと……。最近ではイベントの有難みというのは減っているのかもしれない。


*3 現行品をショップのインターネット通販より高い値段で出したり、限定品を定価の1.5倍〜2倍以上で出品したりしている人のこと。売れずにさらし者になるのが常である。たまに買い手にも知識がないのがいて、落札されている場合もある。
3. 購入後

 購入した後に故障や問題が発生した場合、普通はメーカーに問い合わせ、パーツ購入や修理依頼を行う。
 (何を当たり前のことを、と言う人がいるかもしれないが、こんなことさえ分かっていない人が多い。)
 ただし、生産がとうに終わった製品や、作った会社が倒産したり、撤退したりしている場合には、この手が通用しない。
 生産が終わっていても、パーツが残っている、あるいは他の製品で流用がきく場合には何とかなるが、それが不可能な時は自力で何とかするしかない。ただ、現在では古いモデルの製品についても修理・分解方法等を紹介しているサイトがあるので、そういった情報を利用すれば何とかなることもある。パーツについては中古やデッドストックを探すこともできる。気合の入った人ならパーツ自作したりもするが……。そこまでいかなくとも自力である程度対処できたほうがいい。対処できない人は、古い製品を購入するのを考えなおしたほうがいいだろう。

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