今回紹介するのはボブ・チャウ・スペシャルだ。
ニューMGCが直営店と通販でのみ販売した限定のカスタムで、2001年の販売以来、時折思い出したように再販されている。
元となったのは名シューターにしてガンスミスのボブ・チャウによるカスタム。
ボブ・チャウと言えばオリンピックのRFP(ラピッドファイアピストル)の銅メダリストで45口径の世界記録を33も持つ人だ。
ボブ・チャウによるこのカスタムは月刊Gun誌1981年10月号で記事となっている。フレームはシリーズ70、バレル、スライドは軍用ナショナルマッチのM1964を使い、全てのエッジを丸く落としてある。全体はマット仕上げしてあり、グリップ前面とトリガーガード前面に独特のステッピング処理が施してある。なかなかインパクトのあるデザインで、好き嫌いは分かれると思う。
エッジを落とす処理はKimberやJim Clarkのメルトダウン処理として、その後も類似のものがいくつか存在している。
今となってはやや古い感じもするが、やはり独特の迫力は現在見ても衰えることはない。Gun誌で取り上げられた事もあってか、日本のマニアの間での知名度は高く、数多のショップ、個人が各々このカスタムを再現してきた。
ボブ・チャウ・スペシャルは好きなのだが、なかなか買う機会がなかった。
手間のかかるモデルゆえに、ショップカスタムはかなりの高額商品だ。
このMGCのモデルガンも安いモデルではない。今回買えたのは中古で4万円を切る価格だったからだ。
MGCのこのカスタム、確かに手は込んでいるが色々と不満もある。
しかし価格を考えればリーズナブルだとも言える。
48,000円の価格でここまで再現しているのだ。不適当な品ではない。
フレア・カットされエッジが落とされたエジェクションポート。
スライドの仕上げはなかなか良いが、バレルの刻印はややぞんざい。
スライドも後ろのほうは処理が甘い。アジャスタブル・リアサイトも同様。
これは、強度やコストの問題のためと思われる。
あとこのサムセイフティは仕上げが綺麗ではない。
光の反射のせいで浅く見えるが、ステッピング処理はしっかり入っている。
ボブ・チャウ特性のバレルブッシング。
これが優れた命中精度を生んだと言う(実銃では)。
マガジン挿入口内部も丁寧に丸められている。
こうして見ると改めて分かるが、本当に手間のかかるカスタムである。
かつてGun誌に紹介されたモデルはベルトクリップがつけられていた。
いずれこれに似合うベルトクリップがあればつけてみたいところだ。 |