タナカ・ルガーP08 その1

Luger P08 8inch Artillery Model
ルガーP08 8インチ アーティラリーモデル(HW)

製造元:タナカ
全長 :320mm
重量 :710g
総弾数:12発
値段 :24,500円
機構:ガス、マグナ・ブローバック

今回紹介するのはタナカのルガーP08だ。
タナカは過去登場したルガーの中で最も完成度が高いP08を出している。
その中で最も最後のほうに登場したのがマグナ・ブローバックでHW樹脂採用のものだ。

そもそも、モデルとなっているルガーP08は人気が高い。
実銃はショートリコイル・ロックドブリーチ式(トグルロック、ライジングトグルジョイントとも。単純にトグルアクションと呼ばれることが多い)という、かなり特殊な機構で動く自動拳銃で、ワルサーP38がドイツ軍に制式採用されるまでドイツ軍で制式採用されていた。特に第一次世界大戦では、塹壕戦でストックや多装弾のスネイル・マガジンをつけたルガーが活躍している。また、スイス、オランダなど他の国でも一部採用されていた。軍用品にしては製造に手間がかかり、耐久性は比較的劣る。しかし精度は良かったようだ。
ワルサーP38に代替わりしてもドイツ軍内での人気は高く、連合軍にさえ人気があった。連合軍には戦利品としてルガーを持ち帰る兵士がかなりいたという。
 銃身の長さが4インチの通常モデルの他、海軍で使用された6インチの「ネイビー(マリーネ)」、砲兵が使用した8インチの「アーティラリー(ランゲ・ラウフ)」、12インチのカービンがある。

ルガーP08は昔から現在に至るまで、ガンマニアに根強い人気がある。日本では映画、小説や漫画などのフィクションにしばしば登場している。

そう言えば、スターム・ルガー社のHPにリンクして、リンクコメントに「ドイツのルガーP08を作った会社」とか紹介しているサイトがあって驚いた。綴りからして違うだろうが!

よくタナカもこんな製品を出したと思う……が、タナカはペガサスシステムの成功以来、ガスブローバックからほとんど退き、このルガーP08も市場から消えつつある。もったいない。
特にHW樹脂製のものは少ない。絶版かどうかはっきり告知してほしかった。

※2004年にタナカは各モデルとアクセサリー類を再び販売したので入手困難の問題は当面は解決した。どうせならリニューアルしてほしかったが……。

なお、タナカが出したバリエーションにはクリアモデルのように「こんなもん考えたのは誰だ」と問い詰めたくなるような変な品もある。銃が好きな層には絶対好まれないであろう商品展開だ。おかげでクリアモデルだけはあちこちで余っている。

トグル、チェンバー周りの刻印。トグルの刻印からDWM製であることが分かる。

レシーバー上のプルーフマーク。このマークはGerman Military Proofを示す。
ASGK刻印がちょっと邪魔・・・。

以上の各刻印から、このルガーは1914Militaryに分類されるモデルであることが分かる。
つまり、1914年のバリエーションで、1915年DWM製造のドイツ軍用モデルだ。
タナカは結構こういう刻印にもマメで、ルガーは旧ブローバックモデルと今のモデルでは刻印が違っている。モデルとした銃が違うのだろうか?


上の写真は購入時のもの。
後のほうに出たタナカのルガーは付属のプラグリップが黒いのが特徴だ。
このルガーは2002年冬のブラックホールで購入。かなり綺麗な状態だったし、一挺欲しかったので購入。ルガーP08は特に好きな銃というわけではないが、この独特の存在感は子どもの頃から印象に残るものだった。やはりこういう銃は性能云々よりもその存在感だけで今の銃に勝る。
このHWモデルは重量感もあって(注:あくまで見た目の「感」であって別に重くはない)、なかなか良い製品。しかし、黒いプラグリップは似合わないので、純正の木製グリップ(6,000円)に交換した。この木製グリップ、チェッカリングがきついので、薄くサンドペーパーをかけるとよい。色が気に入らなければニスやオイルも塗布したほうがいいだろう。
なお、HWモデルはABS樹脂モデルと違ってほとんどのパーツが黒塗装されている。実銃だと、多くはロッキング・ボルトやセイフティやハンマーやマガジンキャッチやエジェクターはストロー・フィニッシュと呼ばれる、金色がかったシルバーなのだが。

この8インチモデルは、サイトの形状(タンジェント・サイト)ゆえに狙いやすい銃ではない。タンジェント・サイトというのは、リアサイトを動かすことで長距離を狙えるように調整できるもの。この頃の拳銃にはよくあった。ルガーP08では8インチモデルのみがタンジェントサイト採用で、100〜800mまでの目盛りがついている。しかし実際の効果は怪しい。ガスガンの場合には余計使うことが無い機能である。射撃のたびにトグル部分がサイトを隠すという欠点がある。
 マグナ・ブローバックだけあって、ブローバックはスピーディ。ガス漏れするかと思ったが、全然漏れていない。燃費は比較的良く、1回チャージするとかなりもつ。何よりも見た目が良く、渋い逸品である。

タナカ・ルガーP08 (その2)へ続く

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